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2015.05.05 CONCEPT

時が私たちにしてくれること Real Clothes

下北沢の美容室リアルクローズは、2008年5月にオープンされました。

オーナーは京都にお住まいで、この美容室が完成した頃に東京へ移住される予定でした。そのオーナーの「ヘアアーティストたちのアトリエとしてつくってください」というご依頼に対して、私たちは、徹底的に無駄なものを取り除いた、ヘアアーティスト同士の「技術と感性の闘い」の場としての空間を提示しました。

それは、あたかも戦国時代の武将同士がその人格と人格の真剣勝負の場とした「利休の茶室」を想起させました。

このプロジェクトでは、利休が追究した「侘びの美意識」をテーマに空間づくりを進めることでオーナーに了解をいただきました。

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侘びの美意識には、時間というファクターが大きく関係します。どんなものも時間の経過とともに朽ちていく。朽ちていくものに寄り添うことに美しさを認めることは、地位を登りつめていこうとする下剋上の時代にあって、それとは全く逆の価値観を提示する意味がありました。

侘びの美意識を追究することは、「時が私たちにしてくれること」を感受する場をつくること、と考えます。

上の看板は、弊社の工場で長い期間敷かれていた鉄板を利用しました。時間は、このように私たちが知らないうちに、表面に無数の傷をつけ、また、はねたペンキで汚してくれているのです。

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意図的に汚すことはできる限り避けねばなりません。朽ちていくものに寄り添うとは、そういうことです。

では、どのようにこの汚れた床・壁・天井はつくられたのでしょう?

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実は、元々ここの壁はうすいピンク色に塗られていました。まずは、単純にこの塗装を剥がすことから始めたのです。

でも、どんなに剥がそうとしても、ピンク色がところどころ残ってしまいます。

そこで考えたのが、柿渋を塗布することによって、このピンク色を馴染ませていくことです。

床・壁・天井はこのように不可避的なプロセスでつくられていきました。

できあがりに意図が感じられない秘密はそこにあります。

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柿渋を塗り終えたとき、京都のオーナーから大量の花が贈られてきました。とてもうれしい激励だったのですが、このサプライズに対してどのようなお返しをすればよいか、私たちは考えました。

そして、その花が、この柿渋の空間にとても映えるものだったので、私たちは上の写真を撮り、私たちのコンセプトを載せて京都へ送りました。

こんな愉しいやり取りをしながら、プロジェクトは進んでいきました。

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そして仕上げに、入口にはさみを5本飾りました。これは、利休の茶室において、武将が茶室の入口に刀を置いて入る「刀置き」を、美容師に置き換えたものです。

こうして、ヘアアーティストたちのアトリエは完成しました。



そして、3年後の2011年7月に、今度は外の空間を緑とともにつくるご依頼を受けました。

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2008年の完成当時は、上のように外はシンプルなタイルの状態でした。

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今度は、「利休の茶庭」をコンセプトに、やはり無駄を省いたシンプルな構成をしましたが、でき立ての真新しさが、どうしても内装空間との違和を感じさせます。

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それから、4年が経ち、また写真を撮らせていただきました。植物好きなスタッフの方々のおかげもあって、植物は見事に自然の一部へと成長を遂げています。

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もう内装空間とは、一分の違和感もありません。時は、このように、私たちが知らないうちに、空間の別々の要素を結び付けていきます。

それは、あたかも私たち側ではなく、空間側に意志があるかのようです。

→ Real Clothesのworksへ

→ Real ClothesのHPへ

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