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2015.01.30 CONCEPT

創造性の連鎖~美容室 HOEK HOEK誕生までとその後

(創造性の連鎖とは?:グリッドフレームは、創業以来、チームによるものづくりの革新的システム「創造性の連鎖」を用い、関わったメンバーの思いが重なり合う、豊かな空間づくりに挑戦しています。)


立川に2014年11月にオープンした美容室 HOEK HOEK。

若いオーナーでもありヘアアーティストのTさんと共に、グリッドフレームの担当チームメンバーは、ユニークなコンセプトのサロンに、それぞれが全力でぶつかりました。

1.基本設計....基本設計担当者T+K

〈1a:初回ヒアリング+ブレインストーミング〉


「自分のお店のイメージはなんとなく決まっていて、お声をかけた内装の会社もあるのですが、なんとなくしっくり来ていなくて。」

ある日、電話で問い合わせいただいたT氏は、今度お店を立川に開業予定で、物件はすでに決まっているという事でした。

まだ残暑厳しい9月中旬、Tさんにお越しいただきました。
(初回のヒアリング+ブレインストーミングのために、初回は会社へお越しいただいています)

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20代で、おしゃれな雰囲気のTさんと、ヒアリングリストに沿って話し合いが進みました。
(「そんなことまで聞かれるんですかー?」という内容になっています。とにかくとことん話し合います。)

構想、セット面やシャンプーエリアについての条件、設置する機器類、動線、照明や設備についての要望など、サロン空間についての条件に1時間。

その中にサロン構想としてブックカフェ的なヘアサロン、本をたくさん並べたい、という言葉がありました。気さくな、カジュアルな美容室にしたい、という意図からです。

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そして引き続き、そのサロン構想が生まれる前提となったであろう、Tさんの幼少の頃から今まで熱中したことや好きなこと、時間があればしたいこと、サロンを中心として、それを取り巻く周囲の状況(例えば、家族の事やスタッフの事、将来の構想など)に1時間費やしました。合計2時間のヒアリングです。

その2時間の中には、「紙のにおいが好き」、「本をぱらぱらとめくったときの存在感が好き」「草原で寝っ転がり、本を眺めるのが好き」などTさんらしい感性溢れる言葉がありました。

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その後グリッドフレームの得意なこと、創造性の連鎖という独特のシステムで空間をつくっていく方法などに30分を費やし、長い打ち合わせを終えました。

最後にTさんは、晴やかな表情で「なんか、すっきりしました。いろいろ聞いていただいて。すぐに素材や空間のイメージを決めるのではないんですね。」とおっしゃいました。

デザイナーのTもKもすでに空間のイメージが沸く打ち合わせ内容でした。「では、物件調査を3日後位に行いますね!」とお別れしました。

〈1b:物件調査〉

3日後位に、物件の現地へ伺い、仕上や設備の現況の調査を行いました。

壁のコンクリートが荒れている感じが少し気になりましたが、鉄などの金属と合わせると、逆に生かせるだろうということを共有し、サインやエントランス周りのデザインの条件など確認しました。

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<1c:提案準備>

続いて、TとKでブレインストーミングを数回行い、それをもとに、コンセプトストーリーをデザイナーTがつくりあげました。

今回のコンセプトストーリーは下記です。


図書館としての美容室

ぼくらは一生のうちにどのくらいの数の本を読むことができるだろう?

たぶん図書館にある本の中のほとんどは、
ぼくにとっては背表紙を拝むだけの存在にすぎない

それぞれの本はその内に秘めた世界を持ち、
読まれることによって初めて世界を開示する
・・・(つづく)

(コンセプトストーリーの続きおよびHOEK HOEK店舗空間は下記をご参照ください。)
→ HOEK HOEKのコンセプトストーリーと空間


そして、そのコンセプトストーリーから今回は、ラフパーススケッチ1点、ラフ部材サンプル1点、参考画像ビジュアル1点をつくりました。

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  • 〈1d:デザイン提案と共有〉


    いよいよ、デザイン提案の日です。いつものようにデザイナーTとKはどのような反応をいただけるか、テンションがあがっています。まずは、コンセプトストーリーを読み上げます。

    本に囲まれた美容室のデザインです。(わたしたちは、他にこのような美容室を知りません)

    本棚はもちろん、自社でつくる、特殊造作工事です。
    (*空間において雰囲気をつくりあげる部分は自社内でつくっています。それを特殊造作工事と呼んでいます。そしてボードや大工工事、電気、水道、換気などの設備工事などの部分は協力業者工事と呼んでいます。
    弊社担当の特殊工事部分は、素材やつくり方で、金額が大きく変わります。この特殊造作工事部分をコンセプトストーリーにあわせて、素材、つくり方(組み方やディテールなど)をご提案しています。例えば、今回の特殊造作工事は、セット面+本棚、受付カウンター、受付カウンター背後、シャンプーエリアの壁、シャンプーエリアのカウンター、トイレ内装造作などです。)

    Tさんには「いいと思います...、これでお願いします」とおっしゃっていただけました! 

    わたしたちのシステムの中で重要なのは、"つくりながら考える”(最初にすべてを決めてしまわない)ということです。ですので、お見積内の特殊造作工事項目は概算見積りとなっています。

    この部分の詳細設計を担当する、次のリレーメンバーにバトンタッチです!ご予算が決まっている場合は、それを超えないように詳細設計を進めます。


    2.詳細設計....詳細設計担当者N+H、現場管理ディレクターN、つくり手I

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    基本方針が決まったので、詳細設計時の初回打合せは、現地で行いました!
    デザイナーKからデザイナーHにバトンタッチです!(デザイナーHは撮影のため、この画像に入っておりませんが)
    そして、つくり手のI、テクニカルアドバイザーのN、現場管理ディレクターのNも参加です。

    ↓まずは、メインとなる本棚の部材サンプルをさらにつくり、確認させていただきました。

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    また、セット面のミラーサイズや設置高さ、シャンプーエリアなど、現地で実際に確認させていただいたり、イメージのしづらい設備関係の工事内容の説明、要望を再度伺いました。


    ある意味この段階で、コンセプトストーリーがどんどん肉付けされていくので、クライアントも最もワクワクする段階です。

    詳細設計段階では、メールでの確認やお会いしての打合せを何度も重ねます。互いの頭の中を共有することに、エネルギーは惜しみません。



    ↓トイレ内デザインも店内のデザインから、本の表紙が並んでいるように見せるため、既成のタイルを小さく加工を施す、手洗カウンターの天板は、クリア強化ガラス、排水パイプは黒メッキ、便器後ろの棚の支えは水道屋さんに水道管を曲げていただくオリジナル棚など、提案しました。

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    詳細内容が決定したら、いよいよ着工です!


  • 3.制作開始+着工....制作担当者I+現場管理ディレクターN

    〈制作開始/現場着工>

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    いよいよ今までの思いの重なりが現実になります!。

    現地では次から次、工事が進んでいきます。

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    照明実験なども現地の方がイメージがしやすいので、クライアントさんと一緒に確認です。

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    工場や現地でつくり手が細かい確認をしながら、つくっていきます。

    途中、現場管理ディレクターのNから、セット面横のスタッフルームのボード壁が圧迫感があるかもしれない、と議題として持ち上がりました。

    それで、ボードにへこんだ目地(ハットジョイント)を本棚の棚板と高さをあわせて、いれることで、解決しました。

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    グリッドフレームの工場であらかじめ加工した部材を現地へ運び、どんどん組みあがっていきます。

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    ↑本棚が出来上がってきました。

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    ↑シャンプーカウンターをつくっています。

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    ↑エントランス階段周りのサイン造作。(地下一階なので、下りていく階段に取付)実は、最初にご提案したものを調整して、着工後に再デザイン。つくりながら考え続けています。建築と異なり、店舗の場合は、設計期間と工期が短いので、一般には、既製品を選ばざるを得ない状況も多いと思います。グリッドフレームでは、“そこにしかないものを” 実現するために、平面図を確定したら、現場着工をし、工事中も造作部分のデザインをしつづけます。

    4.引渡し....グリッドフレームチームメンバー全員→クライアントTさん

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    ↑セット面です。それぞれ世界を持つ、たくさんの本たちが、応援してくれているようです。

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    ↑非常ベル(赤ベル)をデザインに取り込んでみました。(移設するとコスト高になりますし、見方によっては、かわいいデザインですしね)実はこれは、着工後、ザイナーHのアイデアが、つくり手のIの協力があって、実現。着工後でもよいアイデアはどんどん取り込まれる、というグリッドフレームのシステムのなせる技(電気屋さんなど設備屋さんとも仲がよいので、皆工事内容変更にも対応してくれます。ありがたいです)


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    ↑待合からのビューです。美容室にいることを忘れそう。ここでは、セット面、シャンプー、待合、どのエリアにいてもたくさんの本を感じます。

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    ↑水道屋さんにまげていただいた管で、トイレの棚を支えました。メーターもつけていただきました!


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    5.引渡し後....クライアントTさん


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    ↑お引渡し後、柱に素敵な時計をつけていらっしゃいました。全体の空間のバランスが締まりました!

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    ↑クリスマス時期に伺ったら、何と、“本のクリスマスツリー”が!これには、感動しました!!

    創造性のバトンはしっかりリレーされていました。これからも、どんどんお店の方、そこへ来られる方に引き継がれることを祈っています。

    → HOEK HOEKのコンセプトストーリーと空間

    → 創造性の連鎖とは

    → 「創造性の連鎖」の実践

    (記:久保)

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